「戦争中の暮らしの記録」という、暮らしの手帖編集部が発行した本を読みました。
昭和47年刊。
新しいものもあるそうです
これを読むと、「戦争というものの残酷さ・悲惨さを知るのは、やはり、実際に体験した人たちの多くの体験談(ないし手記)が適しているんではないかな」、と思います。
今もってシリアをはじめとする紛争の渦中にある国々では、凄惨を極める事態が展開されています。
よしんば、日本にとっての戦時下の経験のような。
(兵器の進化は70年前の比ではないのですが…)
↑「アレッポの石鹸」はシリアの特産品です。
我々が見聞きする紛争地域の情報というのは、もっぱら報道です。
テレビ、新聞、web等のニュース。
報道というものは、公正・公平を意識しなければならず、私情をはさむことがよしとされません。
それはフリージャーナリストにおいても同じで、ニュースとして伝わってくるものは、意図的に無味乾燥化されたものです。
のちに「フリージャーナリストの執筆した珠玉の一冊」でも読めば話は違ってくるのでしょうが、はたしてそのような本を読み、紛争について深く考える日本人がどれだけいるでしょうか?
私も、知っているジャーナリストの方が発行しない限り、おそらく手に取らないと思います。
人がひしひしと感じることができるのは、やはり報道よりも、実際に体験した人たちの多くの体験談・手記です。
普通に暮らしていた私たちと同じ庶民に、何が起こったのか。
同じ目線で語られないと、心に響きません。
太平洋戦争はこの国が当事者でしたから、実際に体験した人たちの多くの体験談・手記が存在します。
近年においてはその記憶の風化が問題視されておりますが、冒頭の「戦争中の暮らしの記録」のように、記録としてはきちんと残されております。
それを掘り起こしてみることが、やはり大切だと痛感いたしました。
当時一兵卒であった水木翁の作品もまたしかり。
目下の世界の紛争地帯については、太平洋戦争のような日本語による体験談・手記が豊富ではありません。残念ながら。
今じゃSNSもありますけど、紛争地帯の人がfacebookやtwitterをやっていたとして、読めます?
…読めませんよね、フツー。
本気で世界の紛争について当事者の体験談・手記を得たいのだったら、全人類が第二外国語としての英語をマスターして、全人類がベランベランにやりとりできるようにでもしないといけません。
そこまでじゃなくとも、英語のチョー苦手な我々日本人が、せめて英語で読むことだけでもできないとなりませんね。
ハードル高い。
駄菓子菓子。
「自分の子どもと同じ年の子を連れて、紛争の中を逃げる世界のママさんの実体験」でも聞かなきゃ、誰も動こうとはしないのです。
ニュースでも足りない。
アレッポの石鹸の卸売業者の言葉でも足りない。
目下のシリアや政情不安定な地域について、太平洋戦争経験者の手記のような形で我々が情報を受け取ったら、きっといてもたってもいられなくなるはずなのです。
↓そうねボタン(押すと喜びます)